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くすのき工芸の”こだわり”

素材、道具、技術、
良い製品を造るための三つの条件ですが、なかでも道具の手入れだけは常に気を配っています。よく切れる刃物は当然綺麗に仕上がりますし仕事も進みます。

 

くすのき工芸概要

工場名

くすのき工芸
工場所在地

〒132-0033
東京都江戸川区東小松川4-51-10(周辺地図/Mapion
TEL:03-3656-9336 FAX:03-3656-2876
info@kusunokikougei.jp

創立

2001年5月1日

代表者 山中基裕
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主要業務 注文家具制作・修繕、設計、デザインなど
主な納品先 ゼネコン、デパート、ホテル、学校、商店

 

くすのき工芸の誕生まで ・・・・・山中基裕

『ケジメ』

1995年、それまで4年半勤めたサラリーマン生活に区切りをつけた。なにも不満がないといえば嘘になるかもしれないが、仕事も内容もそれなりに満足していたし、人間関係も特に問題なかった。ただ、今の仕事が人生を掛けるに値するか否かと考えた時、先きは決まってはいなかったが、とりあえず今居るところから離れてみることにした。

こうして何ヶ月かは実家の仕事を手伝いながら、勤人ではなく、個人として世の中を観てみた。『何して自らを成すか』今までは組織の一員として行動していたが、今度は自らが『考え、決定、行動する』。具体的なことはともかく、そんな仕事がしたい。自分に何が向いているか、それが解れば苦労はない。

どうしたもんか、そんな時知人に紹介されたのが、森谷木工所。そして自分にとって師匠となる森谷さんとの出会いである。

 

『行動』

講議や練習は特に無く、入っていきなりの実戦投入だった。扱うのは商品。失敗は許されない。当然緊張する。しかし、その緊張感と森谷さんの適切な指導が、高いモチベーションを発生させ、着実に技術を身に付けていた。あまり考えた事も無かったが一日が、一週間が、一ヶ月が短い。気がつけば一年、まだ未熟ではあるものの組み立てと仕上げをまかされるようになっていた。

そんな中思うところがあり、職業訓練学校木工科の夜間にも通いはじめた(現在綾瀬の木工科夜間部は無くなりました)。理由は基礎学習のため。今のまま働きながら覚えればと考える方もいるでしょう。しかし、技術には応用のための裏付けが重要。与えられた技術だけでは理解が浅く応用に繋がりにくい。理解を深めるためには仕事の緊張感を離れて冷静に分析する時間が必要になる。

まさかもう一度勉強し直すことになるとは思わなかった。そう入学試験だ。おまけに面接もある。高校受験の緊張感と懐かしさの入り交じった複雑な気持ちで準備を進め当日を迎えた。試験会場で気づいたが、年齢の幅が広い。18〜60歳位まで。待ち時間で少し話もしてみたが、目的も様々。ただ共通していることは皆必死ということだ。試験は学科(国語、数学『中学生程度』)と面接。学科のことは余り憶えていないが、面接は確か『熱意』の中央一転突破。思い出すのも恥ずかしいので詳細は、、、。なんとか合格することができた。

 

『誤算』

人生最良の時(この歳でこの言葉は早すぎる)、今まで過ごした時間の中で(遺書みたいだ)ともかく、すべてが順調だった。目標が有り、手段が有り、実行する。とても簡単な事だが、今までの経験上それらが明確になる事は少なかった。与えられた仕事をきっちりこなしそれが評価される。誉められる喜び、芽生える向上心、技術の習熟。このころは食事もいつもより美味しく感じた(大袈裟ではなく)。気が付けば職業訓練学校も無事卒業、仕事も製作だけではなく見積もりの出し方、無駄の少ない材料の取り方、複雑な組手など、より高度な内容になっていたが毎日が充実していたが、まさか、あんなことになろうとは。

そのときは突然やってきた、忘れもしない2000年1月年明。まだ仕事も入らず道具を直しながら師匠と世間話をしていた時
「実はもうこの仕事やめようと思っているんだ、俺も歳だし」
よくテレビでネガポジ反転を使って驚きを表現するがまさに目の前がそれになった。動揺を押さえつつさらに話を聞く
「よそを紹介してもいいけど、どうだいこの工場と道具使って自分でやってみないか」
あまりに突然のことで、さすがに即答できず「少し考えさせて下さい」としか言えなかった。

考えた。ひたすら考え悩み家族、友人、知人、etc、に相談したが、今にして思えば答えは既に決めていたのかもしれない。ただ自分を納得させるために時間を使いたかっただけかもしれない。最終決断に至った理由は、「こんなチャンスは二度と無い」という思いと、この仕事が最初に書いた条件を全て満たしていたからだ。こうしてあらゆる不安、希望、全部飲み込んで最初の一歩を踏み出すことになる。

 

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